油津研修の2日目の朝、Paak Designという1級建築士の事務所を訪れました。PAAK DESIGNでは、設計デザインのノウハウを軸に、地域資源を活用した4つの事業に取り組んでおり、循環型のしくみづくりを推進していました。
1つ目は空家事業です。地域に眠る物件をリノベーションし、新たな活用方法を提案しています。私たちは今回の研修でPAAK DESIGNがリノベーションを手掛けたMarika、日南駅、塒珈琲、湯浅豆腐店にも訪れました。県産材の飫肥杉を多く利用し、人が集まりたくなるような空間が出来上がっていました。他の設計事例についても写真を見せていただき、建物の特徴を生かしたデザインや伝統的な要素の再利用を行っていました。これらは地域のアイデンティティを尊重しながらも新たな価値を創造する手法であり、地方の魅力を引き出す重要な要素となることを学びました。
2つ目は、古物事業です。地域の解体を余儀なくされる物件の情報を集め、その現場に行って再利用可能な古家具・古道具・古建材を引き取ってストックしているpaakstockという倉庫を運営しています。月に1度倉庫で古道具、古材をアップサイクルし販売しています。私たちも今回特別に倉庫の中に入らせていただきました。歴史のある家具や昔の日用品などを工夫して配置し、人の動線を作っていました。リメイクされた家具や時計はとても味のあるものでした。
3つ目はサブリース事業です。空き家を賃貸または購入し、必要に応じて改修をし、地域のニーズに合わせた利用を促しています。 2021年3月には、宿泊施設の改修・運営を行う『PAAK Hotel犀』をオープンしました。
4つ目は地域ものづくり事業です。PAAK SupplyというECサイトを運営しています。地域のモノと魅力を全国に届けられるセレクトショップと産直ショップの中間のようなモデルを目指しています。古材を利用した商品を手作りしたり、出荷できないレモンなど規格外品の柑橘を使ったクラフト・コーラも開発したりと地元の資源を有効活用しています。
Paak designでの学びは、地方の活性化におけるデザインの重要性や可能性を私たちに示しました。空間や社会の仕組みのデザインを通じて地域の魅力を引き出し、人々の暮らしや経済に貢献することは、私たちの今後の目標です。地域の特色を活かし、人々に素敵な体験を提供するために、創造力と地域への理解をさらに深めていくことを決意しました。
Written by Ryoma